IPT対人関係療法でなおす シリーズ

対人関係療法(IPT)

水島広子さんの著作。
水島さんは、日本における対人関係療法IPTの第一人者って言われている。

社交不安障害・気分変調障害・うつ病の三冊をまとめ買い。

社交不安障害を読み終えて、気分変調障害を半分読んだところ。
「不安を感じなくなることが治療も目標じゃなくて、不安がコントロールできるようになることが目標。」という意味のことが書いてあって、そこに一番納得できた。

テーラワーダの「不安」の捉え方と入り口は近いように思う。でも、解脱を目指す仏教と、解脱できない人間を前提とする精神医学とでは、当然アプローチや目指すところが違う。

仏教も精神医学も、どっちも興味深い。

二冊ともおすすめ。


藤沢周平「一茶」

何十冊も読んで 、知った気になってたのに・・・藤沢周平

娯楽時代小説って言うと顰蹙かもしれないけど、私にとって藤沢周平の小説はそういう位置づけだった。生々しい「人間」を描きながら、あくまで軽妙に。っていうのが私の藤沢小説観。

この本は、そいう先入観から外れていた。

一茶という「人間」を、生々しく描いている。人間臭さを前面に出している。
だから、一茶への反感や共感が自然にわく。それから、静かで深い感動が生まれる。
素材としての一茶が持つ魅力を生かしきったような。

藤沢作品にある、ある種の軽妙さは、この本にはないかも。
反対に、藤沢作品に隠れている人間観・人生観が前面に出ている。
人間観や人生観を前面に出すって、勇気がいるし、自信も必要だと思う。そういう意味で、代表作って言っていいのじゃないかな。

藤沢周平「一茶」