藤沢周平「一茶」

何十冊も読んで 、知った気になってたのに・・・藤沢周平

娯楽時代小説って言うと顰蹙かもしれないけど、私にとって藤沢周平の小説はそういう位置づけだった。生々しい「人間」を描きながら、あくまで軽妙に。っていうのが私の藤沢小説観。

この本は、そいう先入観から外れていた。

一茶という「人間」を、生々しく描いている。人間臭さを前面に出している。
だから、一茶への反感や共感が自然にわく。それから、静かで深い感動が生まれる。
素材としての一茶が持つ魅力を生かしきったような。

藤沢作品にある、ある種の軽妙さは、この本にはないかも。
反対に、藤沢作品に隠れている人間観・人生観が前面に出ている。
人間観や人生観を前面に出すって、勇気がいるし、自信も必要だと思う。そういう意味で、代表作って言っていいのじゃないかな。

藤沢周平「一茶」