国際標準の「読解力」の育成に有効なハイパー意味マップ
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内外の先行研究を踏まえて、国語学習に用いる学習道具としてのコンピュータの利点を整理した。
コンピュータの利点を生かし、かつ、コンピュータでなくてはできない学習として、①ハイパーメディアを応用する学習、②シミュレーションを応用する学習の二つの方法を提案し、そのうち、②の「シミュレーションを応用する学習」について、具体的なソフトウェア(教材『走れメロス』による)を開発し、その可能性と限界について論じた。
読解学習におけるパーソナルコンピュータの活用に関する国内最初の研究として評価されている。
上記1の論文で提案したハイパーメディアを応用する学習について、具体的なソフトウェア(教材『石』による)を開発し、その可能性と限界について論じた。
ハイパーメディアを応用するに当たっては、塚田泰彦(筑波大学)が開発した「意味マップ」の理論を発展的に活用した。
塚田の「意味マップ」は2次元表現に留まっている点で表現上の限界があったが、久村は、コンピュータの表現力を利用し、擬似的な3次元において「意味マップ」を表現する方法を開発し、これを新たに「ハイパー意味マップ」と命名した。これによって、2次元表現では困難であったカテゴリーや概念の違いを表現することが可能になり、従来の学習では困難であった「読解過程へのアプローチ」に道を開くものと評価された。
SUMMARY
Semantic Mapping being developed by Yasuhiko Tsukada can be applied to the study of the approach to the process of reading. However, only "Semantic Mapping" being used by the class now is caught of expressing Semantic Mapping on the plane (two dimensions) and (*S) has the following limits therefore as a study method. First, high rank-relation of the concept of the subordinate position and the difference of the category cannot be expressed in relation. Second, it cannot be expressed to understand the relations of mutual by locating each of Semantic Mapping made by some scenes which are different in the class based on the class structure. Third, they cannot be expressed to relate as a whole through the content of the idea of the reader who reds the text. This activity has the relation between reader and text. The network cannot be expressed by two dimensional though Semantic Mapping tries to express the network used the background of the cognitive science. Then, I propose the principle of a three dimensional and developed Hyper Semantic Mapping (based on computer) ”Map System”.
読者論の立場にたって、従来の「走れメロス」研究における主題解釈と教材解釈を批判的に整理し、新たな主題と教材性を示した。上記1の論文の基礎となった研究である。
国語とコンピュータに関わる先行研究を整理し、問題の所在について論じた。そこから、コンピュータを用いた国語科の学習として①シミュレーションを応用した学習、②ハイパーメディアを応用した学習の二つを提案し、それぞれについて具体的なソフトウェア(教材『走れメロス』および『石』による)を開発し、その意義と限界について論じた。
全文(860Kb)
読解過程へアプローチする方法としての「ハイパー意味マップ」の用い方について、具体的なソフトウェア(教材『暴れ川を治める』による)を開発し、それを基に論じた。さらに、インターネットなどの通信系ネットワークでの「ハイパー意味マップ」の可能性を示し、バーチャルリアリティの概念を用いて、「ハイパー意味マップ」を規定しなおした。
ハイパー意味マップについて具体的な実践事例を元に解説した。2005年現在、最も使いやすいハイパー意味マップソフトであるCmapTools(西フロリダ大学人間機械認知研究所IHMC)を用いている。ハイパー意味マップの理論的説明を詳細に行っているわけではないが、活用の実際については十分に理解できるよう記述している。PISAに見られるような国際的な読解力(Reading)を養う方法としても活用できる。
「近代印刷術の発明以来支配的であった紙面での印字の読みに代わって、新たに登場したコンピュータ画面上でのマルチメディア・テクストの理解を国語科教育の枠組みではどう考慮していくことが望ましいか(塚田)」ということについての研究
論文「パーソナルコンピュータを用いた読むことの学習」の元となった発表。ハイパーテキスト理論を応用して読解過程を視覚化(可視化)することで効果的な読解教育が行えるということを理論的に示した。読解活動にハイパーテキストを活用することに関する初の研究業績であると評価されていると同時に、「意味マップ」を3次元化するという考え方、コンピュータを用いるという方法ともに「内外を通じてはじめての研究である」(塚田泰彦)と評価された。
「ハイパー意味マップ」の特徴を示すとともに、中学校の国語科教材に即して「ハイパー意味マップ」ソフトウェア(「さんちき」による)を開発し、具体的な学習の過程を示した。また、通信系ネットワーク上での「ハイパー意味マップ」の用い方を示し、「ハイパー意味マップ」理論を用いた学習システムの概念を提案した。これは、学習に用いるグループウェアやクラウドサービスにつながる内外で初の提案だと思われる。
Webサイトを構築して行う古典学習の実践研究の発表を行った。電脳空間に学習世界を構築して、そこで行う学習活動の効果と限界を明らかにすることを目的とする研究の一部を発表した。
この実践研究で開発した学習用Webの一部を、本Webサイト上に紹介している。
発表の概要(紀要原稿)(29Kb)
非常勤講師:「国語科指導法」(2005~2010)
【中学校・高等学校国語】読解力を養う国語科ICT活用(2008年7月29日)
コンピュータを用いた読むことの学習の可能性に関する研究。特に、心内のネットワークとコンピュータによるネットワーク表現とを関係的にとらえなおす方法の究明と、ハイパー意味マップ教材の開発を行った。
この研究によって、心内のネットワークとコンピュータによるネットワーク表現とを、バーチャルリアリティの考え方から関係的に把握できるようになった。また、ハイパー意味マップの形態を、パッケージ型のネットワークに止めるのではなく、通信系ネットワークにまで広げることで、電脳空間に読解世界を創造することができるという新しい可能性が生まれた。
この研究の成果を、上記論文「コンピュータを用いた読解の学習」(月刊国語教育)および上記大会(日本読書学会第40回研究大会)において発表した。
東京書籍と共同で、「ハイパー意味マップ」を応用した中学校国語科の学習ソフトウェアの研究開発を行った。国内外初のデジタル教科書および教育に特化したグループウェア(クラウドサービス)の開発プランだったが、文科省の支援が得られず、残念ながら開発を断念した。しかし、万が一支援が得られていたとしても、当時の国内の技術レベルでは、少なくとも数億円の研究開発費が必要だったので文科の研究費では成し遂げられなかったと思う。
この計画では、教科書のマルチメディア化(デジタル教科書)と自宅学習支援、教師の評価支援まで含めた学習環境の構築を企図していた。今のデジタル教科書とEdTechアプリ、クラウドと不登校生徒を含めた自宅学習への個別支援、統合型校務支援システムをすべて足したシステムだった。
時代が早すぎたのと説明が下手だったために、いったい何のために何を作ろうとしているのかということを、ほとんどだれにも理解されていなかったと思う。
この時点でデジタル教科書とEdTech、統合型校務支援システム、自宅学習への支援などが実現できていれば、 GoogleやMicrosoftのソリューションに10年以上先立つことになり、きっと日本はICT先進国になっていた。
ほか、光村図書、東京書籍機関紙等。